受託開発の上流工程は本当に難しく価値があるのか?
「上流工程こそ、顧客に価値を与える素晴らしい仕事だ…?」
業務システムの受託開発をしているSIerなどではこのような話がよくされています。
私も以前はこのような業界で仕事をしていましたが、その後転職して、今はスマホゲームの開発をしています。
業務システム開発のSEをしていた当時、「上流工程ってそんなに難しくて価値のある仕事なのかなぁ?一応経験しておくか」ということで、一つの客先企業に何年も常駐して信頼を積み重ねて上流工程の仕事も経験できました。
そこで感じたのは、
- 上流工程はめんどくささはあるが難しくはない。
- 顧客企業のITスキルが上がれば大部分のSEは不要になるんじゃないか?
というものでした。
そんな経験を踏まえて「受託開発の上流工程は本当に難しく価値があるのか?」について考えてます。
社内SEの無能さ
上流工程のむずかしさの多くは社内SEの無能さにあると思われます。
社内SEというのはシステム開発を発注する側の企業にいる情報システム部の社員のことです。
SEといっても社内SEは、ITのことはあまりわかっていなく、かといって業務のこともよくわかっていない中途半端な人たちなんです。もちろんすべての社内SEがこういうわけではなく優秀な人もいますけどね。
社内SEの本来の仕事は、業務部門の人から現場のビジネスの要求を引き出し、システムとして必要な要件を考え出すことです。能力の低さからかそれが出来ず、全てを開発側のSEに丸投げするので、上流工程が難しくなってしまうんです。
逆に言えば、社内SEが無能なおかげでSIerのSEは仕事をもらえているとも言えます。
これは業務システム開発以外のソフトウェア開発の仕事をするとよくわかります。
例えば、スマートフォンのゲーム開発のプロジェクトではそのゲームをサービス運営する企業の社員がゲームに必要な要件を考え仕様に落とし込みます。
私のような外部から来たエンジニアには、「こういうものを作ってほしい」と明確な依頼をします。これが本来の姿です。それを丸投げしてるのが一般企業の社内SEであり、そのおかげでSIerのSEの仕事が存在するんです。
価値がないものを価値があると言い張って金を取ろうとするSIer
rebuild.fmというポッドキャストの番組で「SIerは工数を増やすことによってお金を稼ぐビジネスだから、簡単なことを難しくするのが仕事」という話がありましたが、まさにその通りです。
SIerのSEが「上流工程はむずかしく、価値がある」と言っているのも、そう言って、高い報酬を要求するためです。
他にも
- 「SOAを導入すれば、サービスを組み合わせてシステムを柔軟に開発出来ます!!!」
- 「SOAを導入しないと企業の競争力が失われますよ!!?」
などと、過剰に価値を喧伝したり、導入しないとやばいというようなありもしない危機をあおって、顧客企業にお金を出させようとします。
これは別の業界(ゲーム)に行ってよくわかりました。
ゲーム業界でSOAなんて言葉は全く聞きません。SOAが本当にシステムを柔軟にする技術として価値があるのであれば、ゲーム業界でもSOAが導入されているはずです。しかし、そんなものは見る影もありません。
嘘に惑わされず自分の選択をしよう!
業務システム開発の業界にいたころは、前述したような嘘くさい中身のないことを言う人たちに辟易していました。しかし、それが本当に嘘であり、まやかしであるという確信は持てなかったんです。
中にいるうちには分からないってことです。
外に出て初めてわかったんです。
ですから、今SIerに勤めていて、口ばかりうるさい連中に嫌気がさしている人は、別の業界に行ってみることをおすすめします!
私の場合、業務システム開発の後にWebサービスに移って、その後スマホゲームエンジニアに転身することができました。おかげで仕事もずっと楽しくなりました!
これを読んだあなたもぜひ続いてください!