プログラマーSEが『コーチング』を仕事に活かす方法
コーチングというと、
- 叱るんじゃなくて褒めろ
- 答えを示すんじゃなくて考えさせろ
というコミュニケーション術のような話もありますが、
本来のコーチングは「ゴールを達成するための方法論」なんです。
ゴールとは夢とか目標・達成したい事などを総称した言葉です。
仕事でいうと、プロジェクトを成功させることがゴールになります。
今回はプロジェクトを成功させるためのコーチングを紹介します。
Contents
コーチングで一番重要なこと
コーチングのポイントを一言でいうと、「ゴールを達成している臨場感を感じること」です。
ゴールが「納期までにシステムを求められてる品質で完成させること」だとします。
どうすれば、このゴールを達成している臨場感を高められるでしょうか?
その答えの一つにアファメーションというものがあります。
アファメーションって何?
- 私は毎日最高の仕事をしている
- 開発は着々と進んでいる
- 顧客との関係も良好で互いに協力し合ってプロジェクトの成功に従事している
みたいな言葉を読みあげながら、その状況を頭の中でイメージします。毎日やっているとゴールを達成するのが当たり前という感覚になっていきます。
ただ、これ、自分がやる分にはいいですけど、プロジェクトの他のメンバーに無理強いはできませんよね。
カルト宗教にハマってる人だと思われてしまいますから(笑)
では、他人の臨場感を高めるにはどうするかというと、それは「会話」です。
ゴールの臨場感を上げる「会話」
ゴールを達成する前提で会話するんです。
たとえば、あるコンテストで優勝したいファッションモデルに対してマネージャが、
「あのコンテストに優勝したら、パリに引っ越すことになるわよね、どんな物件が良い?」
「優勝した時のスピーチってもう考えた?アドリブで話すより、考えておいた方がいいわよ?」
という風に、優勝する前提で話しかけ続けていると、モデルの人が優勝することが当たり前に感じられるようになって、実際優勝したそうなんです。
「本気で思ってると、実際そうなる」って自分の人生を振り返ってもありませんか?
「このプロジェクトはうまくいきそうだ」と思ってたプロジェクトは実際うまくいくことが多いし、「このプロジェクトやばそうだな」と思ってたら、実際やばい状況になってしまいがちです。
「うまくいきそうだ」と思ってる時って実際うまくいく行動をしているからうまくいくわけです。
ということは、「うまくいきそうだ」と本気で思いこめればうまくいく可能性が高まります。それを意図的に起こすのがコーチングなんです。
開発チームですべき「会話」
システム開発でも、
「システムのリリースがいついつなので、次の週にリリース祝いの飲み会をやるお店を決めましょう。何系のお店がいいですか?」
のようにうまくいく前提の会話を常日頃からしていきます。
そうすることで「私たちは納期に予定通りシステムを完成している」というゴールを達成している臨場感が自然と高まっていきます。
顧客に対しても同じように使えます。
顧客に対してすべき「会話」
まずゴールを共有します。
開発チームのゴールは「納期に開発を間に合わせること」ですが、顧客と共有するゴールであれば、納期に間に合うだけでなく「予定通りリリースされたシステムがうまく機能して業務が効率化されること」のようなものがゴールとなります。
これが達成される前提で会話をします。
「システムリリースする少し前に、ユーザーのトレーニング期間が必要ですよね。そのためのマニュアルとかも準備しておいた方がいいでしょうね。リリース日がいついつですから、その二週間前くらいからトレーニングを始めればいいですかね?」
のような会話がいいでしょう。
ゴールが共有されているので利害関係もぶつかりません。よくステークホルダーって利害が対立すると思われてますが、共有したゴールに向かえば利害は対立しないので、共通のゴールに向かって互いに協力し合うことができます。
困った顧客にすべき「会話」
困った顧客ってたまにいますよね。やたら開発チームを非難して士気を下げたり、やたらと細かく報告を求めて時間を取らせるような人です。
このような人はゴールを達成している臨場感が感じられず「このプロジェクトは失敗する、失敗するぅぅーーー」ということに臨場感を感じているため、実際に失敗させるための行動を無意識のうちに取っているのです。
こういう人に対しても
「このシステムはいついつ完成して、ユーザーがこのように使って、業務が○○くらい効率化して、ユーザーからの要望もくるだろうから、開発の人員も○人くらい残した方が良いですね」
というようなうまくいく前提で話をしていくとマインドを変えることができます。マインドが変わると行動も変わります。すると困った顧客が協力的な顧客になります。
同様にダメなチームメンバーにも使えます。言い訳ばかりで仕事をしない人とかです。
困った開発メンバーにすべき「会話」
「私は仕事が苦手だぁ、このプロジェクトは炎上する、たくさん残業や休出をしなければならないぃぃぃいーーー」
というマインドなのです。これもうまくいく前提で話をして行くことでマインドを変えられます。
「開発はスムーズに進んで、毎日定時に帰れて、品質の良いものが作れて、スキルもアップできる」
という話を日常の会話に埋め込んでいきます。するとマインドが変わって積極的に仕事をするように変わるはずです。
コーチングを使える場面はたくさんある
そんなわけで、コーチングというものはうまくいってないことや人に対して、具体的・個別の解決策を示すのではなく、
ゴール = 達成したい状況
を設定して、それを達成している臨場感を上げることで、解決策を個々人が勝手に見つけていくという優れた方法なんです。
ぜひ活用してみてください。