TPPで外国人増加してプログラマーSEの求人は奪われるか?
「インド人って日本人の10分の1くらいの給料で働くって言うよね…」
「しかも俺らより優秀っぽいし…」
「外国人に職を奪われる!!?」という話はずっと前から言われてますよね。
「オフショア開発で日本のエンジニアが不要となる」って言われて10年以上経ちますが、実際はそうなっていません。
私自身オフショア開発のプロジェクトに参加したことがありますが、海外チームがうまく機能しませんでした。
以前と違うのは今後TPPという貿易協定が結ばれていくことです。私個人的にはTPPは日本にとってメリットよりもデメリットの方が多いと思っています。そんな私の意見もむなしく日本政府はTPPに参加表明しています。
→ っと当時は考えていましたが、ドナルド・トランプ氏が大統領に就任して、アメリカがTPPから離脱することとなりました。とはいえ、TPPで懸念されていた内容は米国との一対一のFTAで仕掛けられる可能性があります。
この記事はそれに備えるための参考にしてください。
TPPって何?
TPPとは日本と米国を中心とした環太平洋地域における経済連携協定です。先進国だとオーストラリアとかも入ってます。環太平洋つまり太平洋を囲む国による協定ってことです。
国家間のしきいをなくして、輸出入、サービス、労働力の移動を自由に行えるようにすることが狙いです。
「自由」は良いことばかりじゃない
「自由に労働力が移動する」とどうなるでしょうか?
日本人が海外で仕事をするチャンスが増えます。それと同時に外国人が日本で仕事をするチャンスが増えます。
つまり、日本の労働市場に外国人の参入が増えるのです。
発展途上国の労働者は日本人の何分の一の賃金で同じ仕事をします。
企業としては安く雇えた方がいいので、
- 外国人の採用が増えて日本人の採用が減る
そんなことが予想されます。
やばいですね。こんな時よく言われるのが、
「外国人にはできない付加価値の高い仕事をしましょう。」
みたいな話です。
かんたんに言えば、プログラミングは外国人にもできるから、企画とかの仕事に回りましょうってことです。
本当にそうなんでしょうか?
オフショアがうまくいかなかった理由
私が参加したオフショア開発の仕事はある製造業の既存業務システムを、新しいサーバ環境に対応させるものでした。
この業務システムはJava製のWebアプリケーションだったのですが、サーバー環境のバージョンアップに伴い、JDKやJava EEのバージョンが上がるので、これを機会にフレームワークも新しいものに乗せかえましょうということになったんです。
そこで、
- 日本のチームがソースコードの改変方法をまとめてガイドラインを作る
- インドのチームがガイドラインを見ながら、ソースコードの改変と動作確認を行う
という構想が計画されました。
プロジェクト自体はうまくいったのですが、結果的に分かったのは、インドのチームに改変作業を頼まずに日本だけでやったほうが、
- もっと早くかんたんにできたし、
- 予算的にも少なくて済んだはず
ということでした。
オフショアに仕事を依頼する場合のオーバーヘッドが大きかったんです。
日本人相手で同じフロアで仕事をしている場合、「こんな感じでやっておいて!」と言えば済む話が、オフショアだと「○○をああして、こうして、□と△をどうこうして……」と全てを具体的に明確に指示しなければならないからです。
質疑のやりとりも海を挟んでEメールで行うので、効率も良くありません。
これと似たようなことがTPPでも起こるのではないかと思います。
外国人にきちんと説明できる人材が足りない
TPPで外国人が日本の労働市場に入ってきた場合、オフショアと違って距離の問題はありません。
同じフロアで仕事をするのでコミュニケーションは取りやすいでしょう。
ですから、日本人のITエンジニアは不要で自社プロダクトの開発であれば企画チームが、受託開発であればユーザー企業の社員が直接外国人エンジニアに指示をすればいいことになります。
ですが、企画チームやユーザー企業が今まで日本人エンジニアに対してやっていたコミュニケーションを外国人エンジニアに対して行ってもうまくいかないと思います。
指示があいまいすぎるからです。
「○○を□な感じでやっといてよ」と外国人エンジニアが言われても「△はどうしますか?○についても決めてください。」となります。
日本人エンジニアの場合、「(明言してないけど、これは)こういうことなんだろうな」と1を聞いて100を知るような仕事の仕方をしますが、外国人エンジニアは違います。
ですから、企画チームやユーザー企業が変わらない限り、日本人エンジニアの需要は変わらないでしょう。
よって、ITエンジニア職が不要になるなんてことはないので、無理して企画職に移る必要はないと思います。
優れた経営者はそのことに気づいており、ITエンジニアを大切にしています。そういう会社でこそ私たちが働くべき場所です。
今いる職場がそうでないなら、転職活動をやってみてください。いろいろな会社や仕事があることを知れて、自分に合った会社が見えてくると思います!