システムインテグレーターに転職する時に知っておくべきこと
「ほとんどが客先に派遣されるってホント?」
「ブラック企業が多いって噂もあるけど…」
私は10年程システムインテグレーターで業務システム開発の仕事をしてきました。
いわゆるSE(システムエンジニア)ってやつです。
新卒で入社する時にはシステムインテグレーターが何なのかも知らず、
「とりあえず受かったから入社してみた!」
ってレベルだったのですが、10年働けばいろいろ分かります。
けっこう意外なことがたくさんあったので、くわしく紹介します。
Contents
システムインテグレーターって何なのよ?
日本の情報システムにおけるシステムインテグレーターとは、情報システムの開発において、コンサルティングから設計、開発、運用・保守・管理までを一括請負する情報通信企業である。ソリューション・プラバイダ(ソリューションプロバイダ)もほぼ同じ意味である。略してSIer(エスアイヤー)などとも呼ばれる。日本のシステムインテグレーターを英語で説明する場合は、ITサービス会社(information technology services company)と説明した方が分かりやすい。
とのことです。
大まかに要約すると、システム開発全般を請け負う会社ってことになります。
2ちゃんねるなどで
「二次請け三次請けで開発だけやっているような会社はシステムインテグレーターではない、開発の一部しかやってない = インテグレート(完成・統合)させてないのだから」
との意見がありますが、転職エージェントとの会話で使われているシステムインテグレーターはもっと大まかで、「請負で開発をやってる会社」みたいな意味で使われています。
ですから、
他社から発注されたソフトウェアを開発する会社 = システムインテグレーター(SIer)
と覚えておけばいいでしょう。
よって、GoogleやYahoo、楽天のような会社はシステムインテグレーターではありません。自社サービスのソフトウェアを開発してますからね。
続いて、入社して驚いたことを紹介します。
自社に自分のデスクがない
システムインテグレーターの仕事の多くは開発を発注した企業のオフィスで行います。仕事をする場所が自社じゃない場合が多いんです。
例えば、三井住友銀行から「弊社のオンラインバンキングシステムを3000万円で作ってください」という仕事を受注したとします。大抵の場合、「開発は弊社のオフィスでやってください」と言われます。
システム開発の仕事は仕様を決めるために頻繁に打ち合わせが必要なので、同じオフィスで仕事をした方が都合が良いためです。
よって、システムインテグレーターの社員の多くは自社のオフィスに通勤することはほどんどなく、発注元の企業に通勤して仕事をします。ですから、自社に自分のデスクがない人が多いんです。
これは良い面も悪い面もあります。
良い面は、発注元企業が優良企業の場合などには
- オフィスがきれい
- 社員食堂やスポーツジムがある
- 発注元企業の休日は休みになる(夏季休暇や年末年始の休みが多い会社だと嬉しい展開になる)
などの恩恵が請けられます。
反対に悪い面は、
- 自社じゃないのでなんとなく肩身が狭い
- 担当プロジェクトが変わる度に勤務先が変わる
などがあります。
これは考え方次第です。私の場合、自社のオフィスより常駐先の企業のオフィスのがきれいで社員食堂もあったので、良い面の方が多かったです。
システムインテグレーターの種類
これも就活してた頃は全く分かっていませんでした。大きく分けて三種類あります。
1. メーカー系システムインテグレーター
コンピューターのハードウェアを製造するコンピュータメーカーから派生した企業です。
例えば、日立製作所の子会社である日立ソリューションズのような会社です。
親会社が大手なので経営が安定しています。
メーカー系子会社なので、ネットの掲示板などでは「メー子」と呼ばれてる場合があります。
2. ユーザー系システムインテグレーター
ユーザー = 情報システムを使う側、つまり情報システムを発注する側の企業のIT子会社のことです。
例えば、トヨタ自動車のIT子会社であるトヨタコミュニケーションシステムのような会社です。
こちらも親会社が大手なので経営が安定しています。
ユーザー系子会社なので、「ユー子」と呼ばれたりもします。
3. 独立系システムインテグレーター
このタイプが会社の数的には一番多く存在します。
私が入社した1社目と2社目はこのタイプの会社でした。
「独立系」って言葉はカッコいいですけど、単に親会社がないだけです(´・ω・`)
2ちゃんねる(5ちゃんねる)ではボロクソニ叩かれがちな独立系ですが、良い面もあります。
親会社に縛られず、いろんなシステムの開発を経験できることです。
例えば先ほどの例で挙げたメーカー系の日立ソリューションズの場合、日立製品を使ったシステムの開発が多くなります。
ユーザー系のトヨタコミュニケーションシステムであれば、トヨタ自動車グループの社内システムの開発が多くなります。
ユー子、メー子は経験する仕事が偏るということです。
独立系であれば、製造業のシステム開発をした後に、今度は流通業システムの開発を、そのまた次は金融システムの開発をなんていう仕事の仕方ができます。
とはいえ、これは一長一短です。
メーカー系、ユーザー系は同じようなシステムの開発が多くなりますが、別の言い方をすれば専門性が高まるということです。
逆に独立系はいろいろな業種のシステム開発を経験できますが、専門性は高まりません。もちろんプログラミングの専門性は高まります。特定業種の専門性は高まりません。
どちらが正解ということはないので、自分はどっちが好みかで選べばいいと思います。
- 業務の分野を絞って専門性を高めたい → メーカー系、ユーザー系
- いろいろな業種のシステムを開発してみたい → 独立系
入社難易度は?
独立系に入るのが一番かんたんです。
メーカー系とユーザー系は同じくらい難しいです。
ユーザー系の中にはできて一年のベンチャー企業とかもあるので、そういう会社であれば比較的かんたんなはずです。
ただ、その場合、先ほど述べた親会社が大手なので経営が安定しているという特性もなくなってしまいます。
で、おすすめはどのタイプ?
- 特定の業種に興味がある人 → ユーザー系
- 特定のメーカーの技術に興味がある人 → メーカー系
- 特にそういうのがないひと、とりあえず入社できればOKな人 → 独立系
となります。このように書くと独立系が無目的な人向けのように見えてしまいますが、決して悪い選択ではありません。
特に他業種からプログラマーに転職したい人にとって入社難易度の低い独立系を最初の一歩として選ぶことは良い選択です。
それにユーザー系、メーカー系だと、プロジェクトマネージャー職が多く、入社してもプログラミングの仕事ができない場合もあります。
なので、バリバリ開発したい人には独立系をおすすめします。
そうじゃなく、まったり仕事をしたいということであればユーザー系・メーカー系がおすすめです。これは会社次第なのでユーザー系・メーカー系でも、仕事がハードな会社もあるので注意してください。