養生訓の進化論 永井博弌
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抗不安薬の動物実験。
光が当たると電流刺激が流れ、刺激が加わると動物は安全な部屋に逃げ出す、という装置がよく使われた。
光が当たると同時に電流が流れるようなストレスを繰り返すと、光刺激だけで動物はその部屋から安全な部屋に逃げ出るようになる。
そうした時に抗不安薬を飲んでおくと、電気刺激があれば動物は部屋から逃げ出すが、光が当たっただけでは逃げなくなる。
こうした研究から、抗不安薬は見たり聞いたりして入ってくる周囲の変化に対しては不関心になる作用であることが分かった。体に直接加わる刺激には反応するので、感覚が鈍っているのではない。このような実験から、ストレスを減らすには、目や耳から入ってくる外からの情報のうち、不必要なものには反応しない訓練をすることが大切、という結論になる。
養生訓でも巻第五に、耳、目、口、鼻、形(体表)は五官であり、五目(感覚器)から入る感覚情報によって心を乱してはいけない、感覚器官は心の情報収集機関であって、情報収集には役立てるが、得られた情報に踊らされてはいけないとしている。
心身に良いストレス(ユーストレス)と悪いストレス(ディストレス)がある。
ユーストレスは心身に活力を生み出す適度なストレスのことで、例えばジェットコースターに乗ったときや初出勤、ある種の試験などがこれにあたる。単発的短期間
慢性的なストレス(ディストレス)は、対人関係、仕事、身体的悩み、環境などにより、長期間にわたって過剰に及ぶストレスのこと。
こうしたことから、物事の捉え方をプレッシャーにするか、発奮材料にするかの切り替えが、免疫の観点からは大切です。
プレッシャーを発奮材料に変える短時間の処理法や、関心事を他に持っていくポジティブな考え方を訓練して身につけることが、悪性ストレス(ディストレス)回避には関与します。
感覚情報はすべて鵜呑みにするのではなく、得られた情報をよく吟味して、自分にとって良い方に考えることができるものがあればストレスにならないものもあります。
したがって、心の切り替え、ポジティブシンキングと情報の良い方への判断が、自然治癒力、特に免疫力の向上には必要ではないかと考えられます。
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