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要点:よくわかる恐怖症 自分で恐怖を軽くする方法がわかる本 清水栄二 著

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Contents

恐怖条件付け

実験用の部屋に入れたネズミに特定の音を聞かせた後、床から痛みを伴う電気ショックを与える経験をさせると、ネズミは別の部屋で元気に動き回っていても、その特定の音を聞かせるだけで(電気ショックがなくても)固まって動かなくなる「すくみ反応」を示す。また、電気ショックを受けた実験用の部屋に入っただけで、その音を聞かなくても同じような反応を起こす。これは特定の音=痛み、特定の場所=痛みと学習した経験によって起こる反応です。その場合でも、同様に恐怖条件付けが起こります。恐怖条件付けとは、それまでは恐怖を引き起こさなかった特定の刺激が、ある体験を経て恐怖を起こす刺激に変わること。

広場恐怖症は、広場が怖いわけではない。

周りにはたくさん人がいるのに助けを求めることができない、そこから逃げ出したい時にすぐに逃げ出せない、あるいは助けを求めてもらえないといった状況に、強い恐怖や不安を感じるのが特徴です。
広場恐怖症が起こりやすい場所や場面には、次のようなものがあります。

  1. 公共交通機関で移動している
  2. 建物がなく空が開かれているオープンスペース
  3. お店や映画館などの閉ざされた場所
  4. 列に並んでいる、または人混みの中にいる
  5. 家の外に一人でいる

こうした状況において、強い恐怖や不安を感じることがあります。その場からすぐに離れにくいという点が共通している。つまり、その場で何かが起きたときに対処できないかもしれないという感覚そのものが、恐怖の正体です。

まずは、「そこにいていいんだよ」と、感情たちの存在をそのまま認めてあげましょう。

5つの感情たちを一緒に車に乗せることをイメージして、場所を与えてあげてください。

このとき大切なのは、車のハンドルは必ず自分で握ることです。感情たちは助手席や後部座席に乗せ、自分自身で運転することを意識しましょう。こうすることで、感情の存在を確認しながら、かつ感情に飲み込まれずにいられるようになります。

すると、いつの間にか不安に飲み込まれてしまうことが少なくなるはずです。

五つの感情とは:

  1. 喜び
  2. 悲しみ
  3. 恐怖・不安
  4. 怒り
  5. 思いやり

注意トレーニングの目標は、不安を消すことではなく、不安があっても注意をそこに固定しない状態を作ることです。

例えば、防犯カメラやロボットは、そこにあるものをただ観測して記録するだけで、特定の何かやどこかに注目し続けることはしません。同様に、ただ観察して注意を向けすぎないようにすることが、恐怖心を和らげる鍵です。

聴覚を用いた注意トレーニング:

このトレーニングは自分自身の内側で鳴り響く不安な感じやネガティブな思考というノイズから、外の世界へと意識を向ける練習になる。

  1. 複数の音が混ざり合っている中から、特定の音だけを選び出す
  2. 選び出した特定の音だけを追いかける
  3. 注意の対象を次へと切り替える
  4. バラバラに向けていた注意を広げ、全体の音を聞くようにする
  5. 全体の音を交互に聞くようにする

視覚を用いたトレーニング:

このトレーニングにおいて最も重要なのは、自分の感情や考えを脇に置いて観察することです。

「怖い」などの自分の中の感情を棚上げして、ロボットになったつもりで客観的な事実だけをデータとして集中します。

  1. 人物の絵画やイラスト、写真のここと決めた特定の部分に注意を向ける。
  2. 注意の対象を次へと切り替える。
  3. バラバラに動かしていた注意を広げ、全体を観察する。
  4. 次に全体と部分を交互に観察するようにする。

特定の音が苦痛でたまらないミソフォニア。

「ミソ」が「嫌悪」、「フォニア」が「音」を意味することから、「音嫌悪症」とも呼ばれる。
代表的な音としては、咀嚼音や咳払い、鼻をすする音、ペンをカチカチ鳴らす音、タイピング音など、普通は気に留めないような音が大半。それらを聞いたときに、耐えられない、許せない、腹が立つなどの気持ちが強くわき起こる。これらの音の大きさが問題なのではなく、特定の音そのものが引き金となり、感情と体の反応が自動的に起こるとされている。
恐怖症では、恐怖の対象に近づいたり見たり聞いたりした時に「怖い」「逃げたい」といった恐怖の感情が起こる。

それに対してミソフォニアで起こる感情には、強い嫌悪感や怒りといった攻撃的な感情も含まれる。

ミソフォニアは現在の医学では確立された病名ではなく、これからの研究が待たれている。

恐怖症の人が無意識に行っている安全行動についてです。

安全行動とは、恐怖や不安による最悪の事態を想定し、それらを避けるために行われる行動のことで、回避行動とも呼ばれます。あるいは、自分の身を守るために行われる安全第一の行動とも言えます。
高所恐怖症ならば高い場所に行かない(回避行動)。高い場所では外が見えないように目をつむるという行動が当てはまります。

雷恐怖症の人は、雨の日は外出しない(回避行動)。雷を受けやすい傘を持ち歩かず、レインコートを携帯する、あるいは天気予報を確認する、などが当てはまります。嘔吐恐怖症なら、人前で食事をしない、満腹にならないように食事制限する、エチケット袋を持ち歩く、などが当てはまります。
自分で安全行動をしているという自覚がなくても、無意識に恐怖の対象を避けたり、不安を和らげるための行動をしたりしている場合は、安全行動ではないかと疑ってみる必要があります。
安全行動をすればするほど、恐怖は持続します。

「エレベーターに乗らない」という安全行動をとることで、エレベーターに乗らなかったから危険が回避できたのだという誤った学習をしてしまうのです。

それらは同時に、安全行動をしないと自分が危険な目に遭う、という思い込みが強まることにもなる。安全行動を続けることによって、「これも怖いものかもしれない」という恐怖の対象や状況はますます広がり、悪循環となる。

安全行動は自転車の補助輪のようなもの。

安全行動は絶対にしてはならないというものではない。必要なこともある。

しかし、長い期間続けるものではない。どこかで安全行動を手放す必要がある。
自転車の補助輪のようなもので、補助輪がついていると、自分でバランスを取る感覚が身につかないし、スピードも出ない。普通に自転車に乗れるようになるには、補助輪を外すことが不可欠。

「頑張ればなんとかなる」「これならなんとか耐えられる」というレベルの、できるだけ無理のない短期目標を設定して、「自分にもできた」という経験を積んでいくことを目指す。

長期目標と短期目標を組み合わせることで、「いつか良くなったら」という漠然とした希望ではなく、「ここを目指して進んでいこう」という現実的な目標になる。

犬の漫画や絵を見る。

目を細めたり、手で覆ったりする安全行動をしないようにして、しっかり目を開けて直視する。

今まで怖くて、きちん(注:原文「きてんと」からの修正)と見ることができなかった人には、「なでてみると、こんな形をしていたんだ」という新たな発見があるでしょう。目や耳の形、手の生え方、鼻の様子、尻尾の向きなどは、注意トレーニングとして部分的に見たり、全体を眺めたりして確認します。
慣れて大丈夫になっていたら、動画を見るなど次のレベルに進んでみます。

本物そっくりのぬいぐるみに触れてみるのもいいでしょう。

当日は家族とレストランに行く。

この時、食べ物を見ないようにしたり、周りの人が食事をする音を聞かないようにしたり、匂いを嗅がないようにしたりといった、回避行動をしない。
また、注意トレーニングを思い出して、家族との話に注意を向けたり、周りの人が何を食べているかを視覚や聴覚、嗅覚を使って観察したりします。

自分の不安感や体の感覚、胃腸の感じや喉の感じなどについても、客観的に注意を向けてください。全体と部分の両方に注意を向けることが大切です。

注文した食べ物が届いたら、改めてよく観察してみましょう。
普通のメニューを頼もうとして不安度が上がってしまった時は、雑炊やおかゆなどの軽いものや、飲み物にしてみます。
イメージの書き直し。

「こうだったらよかった」という展開に、記憶の中のイメージを書き直す。

目を閉じて、恐怖症の原因となった過去のトラウマ的体験の当時をイメージします。今まさに起きているかのように現在形で、視覚、聴覚、体の感覚で感じたままを言葉にする。

さらに、当時の恐怖の感情を現在形で言葉にする。また、危険だと考えていることを言葉にする。
目を閉じたまま、「危険だ」と思って恐怖を感じている当時の自分の前に、空想でもよいので、信頼できる強い大人がその場に来てくれたらどうなるのかを考えてみます。

強い大人は、映画やアニメのヒーローでもよいですし、尊敬するスポーツ選手や知人、あるいは当時の自分とは違う現在の自分でもかまいません。強い大人に、危険な敵に立ち向かってもらいたい。力のある大人に、こうしてもらいたい。

そう思えるようなシナリオに書き直す。この時に大切な要素は2つあります。

  1. その「強い大人」に、その状況の主人(マスター)として、自分を傷つけようとしてくる危険の対象や状況に立ち向かってもらうこと。
  2. 恐怖で立ちすくんでいる当時の自分に対して、「優しい大人」として思いやりの気持ちを見せてもらうこと。

そして、イメージの中で当時の自分が「安心だ、大丈夫だ」と感じられるまで、強い大人や優しい大人にその場で活躍してもらうのです。

嘔吐恐怖症のイメージの活用の例。

中学1年生の入学式。

目の前に多くの生徒が座っている。壇上で話をする校長先生の声が聞こえる。
お腹が痛い。不快なものが喉に上がる感じがする。不安で、今にも吐きそう。

私はその場で吐いてしまう。
周りの男子生徒が、汚いものを見るような目でふざけている声が聞こえる。恥ずかしくて消えてしまいたい。

先生が近づいてくる。それから、吐いたものを汚そうに片付けているのが見える。
悲しい。

あなたにとってヒーローは誰ですか?坂本龍馬のような雰囲気の、変革の人。それでは龍馬と言いますね。

龍馬はその場にいるのが見えますか?見えます。

龍馬に何をしてほしいですか?
周りの生徒に注意をしてほしいです。龍馬は「体調の悪い人をからかうなんて人間のすることではない。君たちはとても恥ずかしいことをしている。教室に戻って自分の席に座り、猛烈に反省しなさい」と周りの生徒をきつく叱る。

他に龍馬に何をしてほしいですか?
保健室まで肩を貸してほしい。龍馬は「大丈夫か?一緒に保健室に行こう」と肩を貸してくれて、保健室に一緒に行く。

龍馬は言います。
「吐いてしまったのはたまたま体調が悪かったせいで、決してあなたが悪いわけではない。だから、今日のことで自分を責める必要は全くない。調子が良くなったら、胸を張って堂々と前を向いて歩こう」

他には何が必要ですか?
大丈夫です。周りの生徒を叱ってもらい、保健室まで付き添ってもらったことで、だいぶ気持ちが良くなっています。

記憶というのは曖昧なもので、もしかしたら嘔吐してしまった時にも、周りに優しい同級生がいて「大丈夫?」と声をかけてくれていたかもしれません。

あるいは「一緒に保健室に行こう」と心配してくれた先生がいたかもしれません。

嘔吐してしまったというショックで、そういった周りの人がいても気づかなかったり、声が耳に入らなかったりした可能性もあります。
記憶の中の自分のイメージを、無力で恥ずかしいもので終わらせるのではなく、周囲から守られたり、助けられたり、優しくされたりという「自分の望むイメージ」に書き直します。

嘔吐したという事実は変わらなくても、その状況をある程度ポジティブなものに変えることができます。このイメージの書き直しによって、恐怖症の発症に関わるトラウマ的な出来事のイメージを変化させることができるのです。

ACT

(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)は、従来の認知行動療法が思考や考え方の変化に重きを置いていたのに対し、恐怖や不安といったネガティブな感情を排除するのではなく、それらをありのままに受け入れる「アクセプタンス」と、自分が大切にする価値観に基づいて行動をとることを目的としています。

心の柔軟性を高めて苦しみをなくすのではなく、苦しみと共に生きる力を育てることを目指す方法です。
認知的脱フュージョン。

フュージョンとは、頭の中に浮かんだ思考を現実と混同してしまう状態を指します。このフュージョンから離れて見ること、つまり思考と現実を混同しないようにするスキルのことを「脱フュージョン」と言います。脱フュージョンでは、思考を自分自身ではなく、単なる現象や考えであると認識できるようにするのが普通です。

アクセプタンス(受容)においては、恐怖や不安といったネガティブな感情を追い出そうとすればするほど、それらは増大してしまいます。

そのため、感情を心の中に自然に受け入れるようにして、「恐怖や不安もそこにある」という姿勢を身につけることを目指します。

今この瞬間に注意を向けること。

過去を思い出して反省したり、未来がこうなるかもしれないと予想したりすることを減らす。これこそが、マインドフルネスの要諦と言えます。

観察する自己。

頭に浮かんだ考えや感情を、良い悪い、好き嫌いといった判断をせずに、自分の前にあるものを見えるままに、ただ観察することに専念します。

思考する自己と距離を置いて、客観的に観察できるようにすることを目指します。

価値。自分が大切に思う価値観を明確にする。
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)では、単に症状をなくすことではなく、人生のどの領域に価値を置くかを認識する「価値観のエクササイズ(ブルズ・アイ)」などが取り入れられています。

コミットメント:
特定の価値観に従って、具体的な行動(アクション)を実行すること。これは「有言実行」という言葉に近い概念です。

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の文脈では、恐怖症治療における「段階的曝露療法(ばくろりょうほう)」も、具体的なアクションとしてのコミットメントに当たると考えることができます。

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